「考える技術・書く技術」

私の文章力は今でこそ少しはマシなレベルになりましたが、78年ぐらい遡ると酷いものでした。あまりの文章の下手さに先輩からは怒られたり呆れられたりしたものの、自分の人生の中で国語を軽視してきたこともありどのように改善したら良いかわかりませんでした。
そんな中この一冊に出会い、文章力という抽象的なものの正体が見えてきて少しずつ成長できるようになりました。私にとってバイブル的な1冊です。

入門 考える技術・書く技術
山崎 康司  
ダイヤモンド社
2011-04-08


※原著は海外の本のためわかりづらいので、日本語にフィットしたこちらの本がおすすめです。

ビジネス文章には型がある
学校で学んだ記憶がないのですが、ビジネスで使う文章には実は明確な「型」があります。詳細は本を読んで欲しいですが、

  1. まず、背景と結論を書く
  2. その後、結論をサポートする3つの理由を書く

これが「型」です。この型に沿って書かないと、文章は分かりづらくなります。ちなみに前回の記事もこの型に沿って書いています。

  • 背景:初めて投資を始める時にどうしたら良いか

  • 結論:小さく個別株を買いましょう

  • 理由1:投資信託では何も学べない

  • 理由2:個別株では様々なことが学べる

  • 理由3:リスクも個別株と大差ない 


文章力≒要素を束ねる力
「型」に加えて、もう一つ大切なのは要素を束ねる力「要約力」です。先ほどの「型」では理由を3つに限定しましたが、仮に思いつく理由が10個ぐらい挙がった場合は、この10個を3個に束ねることが必要です。これが要約力です。そしてこれは簡単に聞こえるかもしれませんが、非常に難しいスキルです。
例えばこんな感じです。以下の4つの要素を1つにまとめてください。※書籍からの引用

・ノルウェイの森
1Q84
・ねじまき鳥クロニクル
・海辺のカフカ

この場合は「本の名前」という要約はNGです。束ねる時はできるだけ要素が復元できる表現、同じぐらいの内容にすることが求められます。「本の名前」では、大きすぎて4つに戻せる可能性が皆無です。妥当なのは「村上春樹の著書」あたりになります。

もう少し抽象的な要約もあります。以下の3つの要素を1つにまとめてください。※書籍からの引用

・天気予報は雨と言った
・今朝早く、カエルがうるさく鳴いていた
・西の空には黒い雲がある 

この場合は「明日は雨が降るだろう」ぐらいが要約になります。事柄の要約になると難しさが向上するのがわかると思います。
この要約力は実は文章だけではなく思考整理の基本であり重要なスキルです。出張帰りなどに上司から「昨日はどうだった?」などと聞かれることがあると思いますが、この時、時系列順にダラダラ話してはいけません。ここでは「要するにこうでした」となるべく一言に要約して伝えたいところです。
一朝一夕には伸びないが
人は誰でも自分の思考のクセを持っていますので、矯正は簡単ではありません。さらにこのスキルは一回聞いただけで伸びるようなものではなく、使い続けて少しずつ成長するものです。
一朝一夕には伸びませんが私は頑張ってよかったと思っています。文章力、要約力に悩んでいる方はぜひ。
#投資から少し離れた記事になりました