もぐりさんとシステム系の企業を議論しましたが、システム系のビジネスモデルは大きく分けて「人月商売」と「パッケージ販売」の2種類があります。この2つの違いは極めて大きいものだと思っています。

人月商売とパッケージ販売
人月商売とは例えば「うちの会社専用のシステムを作って欲しい」というお客さんの依頼から始まるビジネスです。この場合ニーズ把握や仕様の確認などを行い「xx人月の工数がかかるので、300万円」といった流れで価格が決まります。

一方、パッケージ販売は想像通りのシンプルなビジネスで「私達がつくったこのソフト買いませんか(使いませんか?)」というものです。最近はクラウドシステムの利用料をとるなどサブスプリクション型にするのがトレンドです。

人月商売はゴミ
この2つのビジネスのどちらが優れているかといえば、もちろん「パッケージ販売」です。日本で主流の「人月商売」はビジネスの視点からいえば最悪です。特にまずいと思うのは以下の3点です。

 ①価格決定権がない
 ②システムあたりの利用者が少ない(効率が悪い)
 ③優秀な技術者にまともな給与が払えない

①価格決定権がない
「人月商売」は、会社にとって生命線であるはずの「自社のコスト構造」をお客さんに提示する不思議なビジネスモデルです。これで儲かるはずがありません。コストに僅かな利益を乗せるので、左図のようになります。一方、パッケージ販売の場合は開発費はお客さんが持ってくれませんので最初は赤字でスタートしますが、一定以上の顧客がつくと今度は黒字幅が大きくなります(右図)。
人月商売

②システムあたりの利用者が少ない(効率が悪い)
ITの優秀な特徴の一つに「変動費が極端に低い」という点があります。これは、言い換えると一度システムを作ってしまえば、100 回使う、1000回使う、10万回使うというときにコストにほとんど差がないということです。
「人月商売」は、各社にカスタマイズしてしまいますので、作ったシステムは原則として1社にしか使われません。パッケージ販売の場合は一度作ったものを何回でも使い倒せます。この差は極めて重要です。1社ではなく100社に売ることができれば、99社分はすべて利益だけになる可能性もある話なのです。

③優秀な技術者にまともな給与が払えない
こうして、ダメな「人月商売」を日本中で行っている一方で、アメリカなどでは Google、 Apple、 Microsoftといった会社が「パッケージ型」をベースにしたビジネスで荒稼ぎをしています。最近はIT技術者の争奪戦が始まっており、アメリカでは1000万円を超えるような年収になるのが当たり前になっています。このトレンドが続くと技術者争奪戦で負けてジリ貧になる可能性もありえます。日本との給与の差は「技術者の力量の差」ではありません。ビジネスモデルの差によるものなのです。

投資対象として
と、いうわけでIT/システム系の企業に投資する際には、「人月商売」に陥っていない企業を対象とするのが基本であり、その見極めができると面白い投資先が見つけられるかもしれません。前回の東京日産コンピュータシステムもパッケージソフトの「ITte」が売れて儲かっている話だと面白かったですね。