ビジネスモデルについて勉強してきた中で、僕の心に強く残っている1枚のグラフがあります。
プロフィットプール

このグラフはアメリカ自動車産業のプロフィットプールを表したもので、縦軸が売上、横軸が営業利益率を表しています。各事業分野のグラフの面積は「売上×営業利益率」ですので「営業利益の総額」を表すことになります。あなたはこのグラフをみてどんなことを感じるでしょうか。
分野ごとに営業利益率は異なる
自動車産業を売上の視点で見ると製造と販売が6割を占めていてまさに市場の花形というイメージですが、利益の視点で考えると違った景色が見えてきます。
事業分野の中で一番儲けているのはなんと「自動車保険」であることがわかりますし、売上は小さいですが「リース」の利益率も印象に残ります。
そしてなによりこのグラフは「事業分野ごとに営業利益率が異なる」という、言われてみれば当たり前のような事実を浮き上がらせています。

営業利益率が違う理由は?
事業分野によって営業利益率が異なる理由はなんなのでしょうか。競争環境の違いなどざっくりとした回答もあると思いますが、僕は「顧客の価格反応性の違い」が大きいように思います。
製造、販売を考えてみると、顧客にとって自動車の購入は数百万円にもなる大きな出費で、価格比較も当然厳しい目で行われます。さまざまなサイトや複数のディーラー比較しながら時間をかけて購入を決断します。この結果、企業の営業利益率は2~3%と低水準に抑えられるのです。
一方で、ローン、リース、保険、修理といったビジネスに対してはどうでしょうか。
  • ローンは、そもそも借り手(購入側)があまり強くない
  • リース・保険は、いくらが妥当なのかがよくわからない上に、比較しづらい
  • 修理は、修理内容によって価格が変わるので比較しづらい。パーツは企業の言い値を飲まざるをえない

自動車の購入に比べると、それぞれに財布の紐がゆるくなるような特徴があるのではないでしょうか。
つまり「お客さんのちょっとした心理・ビジネスの構造(ビジネスモデル)」が企業の利益に大きな影響を与えているわけです。


戦略の下敷きとしても使える
このグラフは事業戦略を考える上でも様々な示唆を与えてくれます。例えばメーカーは「残価設定ローン」を強く推進するようになりましたが、これは高収益のリース市場を拡大させていこうとする戦略であることが見えてきます。
また家電量販店の長期保証も保険・ワランティという高収益事業を付与しようとする取り組みだとわかりますし、サラリーマンであれば自社の回りに高収益事業は隠れていないか考えてみるのも面白そうです。

世の中ではあまり見かけないグラフですが、事業構造を捉える上で便利なので良かったら使ってみてください。
#少し投資から離れた記事ですが・・